「ヤバい経済学」(ISBN:9784492313657) を読んだ。道徳的に好ましくない分析が含まれているから"ヤバい"と名付けられているだけで、破壊的な"ヤバさ"というのは無いし陰謀論を暴く類いの内容でもない。道徳に敏感な人には悪魔が騒ぎ立てたように感じるのかもしれないが。。。
本書では主として 道徳的に反するようなテーマを経済学というふるいにかけて、道徳と実際の世界の差異を明らかにしてくれる 。目次を引用してみよう:
- 序章 あらゆるものの裏側
- 第1章 学校の先生と相撲の力士、どこがおんなじ?
- 第2章 ク・クラックス・クランと不動産屋さん、どこがおんなじ?
- 第3章 ヤクの売人はどうしてママと住んでるの?
- 第4章 犯罪者はみんなどこへ消えた?
- 第5章 完璧な子育てとは?
- 第6章 完璧な子育て、その2−あるいは、ロシャンダは他の名前でもやっぱり甘い香り?
- 終章 ハーヴァードへ続く道二つ
経済学者がどのように新しい知識を発見する大まかなステップも少しばかり分かる。 通念を疑い(裏返して)、データを山ほど集めてふるいにかけて検証する。そして新しい知識を手に入れる。テーマが魅力的であれば周囲の気を引くことも容易だろうが、著者は自分を売りたくてこのようなテーマを扱ってはいない。以下の文は著者の視点を簡潔に表している。
道徳が私たちの望む世の中のあり方を映しているのだとすると、経済学が映しているのは世の中の実際のあり方だ。
—終章「ハーヴァードへ続く道二つ」より
経済学者としてか、いち個人としてかは分からないが 世の中の実際 を知ることに興味があるのだろう。 私がこの本から経済学について学んだことは「理想と現実のギャップを計測する道具である」ということだ。経済学に限らずこのような考え方をする学問はあるでしょう。だけど経済学を知らない私にとっては経済学の観点から説明される出来事に新鮮みがあった。本書が哲学の本だったらおそらくつまらない。分析的な仕事で行き詰まったときに読み返してみる価値のある一冊だ。
Date: 2008-02-02
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