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本書はいち平凡プログラマである筆者の英語学習法とでも言うべき、ストレスのない英語との付き合い方を紹介します。

ハッカーの巨匠エリック S.レイモンドは How To Become A Hacker (日本語訳 ハッカーになろう )の中で「英語を学びなさい」と言っています。 「ハッカー文化とインターネットの世界は英語が主要な言語だから」です。

筆者はハッカーに憧れはあるものの基本的には自分の視野を広げるために英語とつき合い始めました。そしてソフトウェア開発の世界に限らず英語に慣れることで様々な恩恵を受けています。しかし正直に告白します。筆者は英語を読むことができるだけで「書く」「聞く」「話す」はほとんどできません。それでも読めるだけでかなり情報量も増えましたし、何度も英語の文書に助けられてプログラミングの問題を解決してきました。

本書が英語嫌いのソフトウェア開発者の励みになることを願っています。


筆者の英語力

このような文書を書く筆者の英語レベルがどれほどのものか正直に言います。おそらく英語が嫌いではない中学生より低いでしょう。

「読む」力

得意というか苦手でない分野はコンピュータに関するものです。 例えば Linux に関する文書で Gentoo HandbookArchWiki を活用できます。

ただし興味が持てない分野はさっぱりダメです。 The Japan Times のニュースも日本語で予備知識が無いと理解できません。

「書く」力

いつも機械翻訳の助けを借ります。オンライン ショップに「在庫ありますか?」などと問い合わせのメッセージを書きますし、気に入ったウェブサイトのウェブマスター宛に "Thank you for your project." と感謝の意を表す一文だけ書いてメールを送ることもあります。

「聞く」力

さっぱりだめ。全然ダメ。英語が少し話せる友人に "Photo" と言われても何のことだかわからず、3回も聞き返しました。聞くのが嫌いではありません。洋画は字幕が好きです。道を尋ねられたとき "Excuse me." はわかります。

「話す」力

こちらも全くダメ。苦手というより話す事をしません。

以上が筆者の英語力です。無論 TOEIC なんて縁がないです。

英語を読むメリット

英語を「読める」とは 英文の意味を理解 できることを指します(発話は関係ありません)。 筆者が英語を読めるようになって良かったことを挙げてみます。

あくまでプログラミングの場面からですが:

  • 有益な情報にいち早く出会える
  • 情報量が豊富で問題の解決策が発見しやすい
  • 自然に英単語を覚える

他にも英語と慣れ親しむことでオンライン ショップも利用できるようになりました。限定モノとか入手できるのでかなり得することもあります(海外から買うと送料が高いんですけどね。)

英語との付き合い方

英語を自然に身に着けていくためには 何かをしながら英語と触れ合う のが筆者の姿勢です。

プログラマを目指した当初から「プログラマはその才能と視野を広げるために英語に強くならないとダメだ」とは思っていたのですが、いざ勉強しようと身構えると何も手に着かないので今は 英語だけを学習することは放棄 しています。

ソフトウェア開発者で困ったら Stack Overflow を検索結果で目にする機会がとても多いです。

フレームワークやモジュールのオリジナル ドキュメントは GitHub にあります。

好きなミュージシャン は海外の人だからウェブサイトも英語です。

すばらしいソフトウェアの多くは海外発 のものが多いので英語サイトを検索するのです。

お気に入りのインターネット ラジオ局 で Jazz を聞きます。

こんな風に自分の趣味趣向のなかに英語と触れ合う機会を取り入れています。

英語に慣れる方法

英字を見るだけでも違和感を感じる人は 常に英語と触れ合う環境 をつくりましょう。海外に移住するとか隣に外国人を呼ぶということではありません。


OS (デスクトップ)を英語にする

Linux を使っているなら LC_MESSAGESen_US.utf8 にしましょう。これで、メニューやアプリケーションからのメッセージは英語になります。

Windows や macOS でも表示言語や優先言語を英語に設定できます。

サービスを英語で利用する

英語サイトを積極的に利用します。

Google アカウントの優先言語 を英語に変更しましょう。日本語情報を優先的に検索するときは yahoo.co.jp を使います。

スラド とあわせて slashdot.org も見ましょう。

日本のニュースが英語で読める The Japan TimesThe Asahi Shinbun を利用します。

映画、動画で英語を聞く

洋画は1度字幕で観賞してストーリーを覚えたら、字幕を OFF にして見直すとおもしろいです。

YouTube では GoogleTechTalks で自分が知っている分野の動画を見ます。

以上のように目の前に英語を展開する環境をつくるのです。あなたがハッカー指向のプログラマならプログラミング言語をいくつか扱えるでしょう。英語を毛嫌いしなければ複数のプログラミング言語を習得した時と同じくあなたの世界が広がります。

本気で英語を学ぶ

筆者は現在英語だけを学ぶということはしませんが勉強しようとした経験はあります。英語学習に真剣に取り組んでいた当時の学習方法を紹介します。

「読む」を鍛える

興味のある本を読みます。英和辞典はいつもそばにあります。小説などの物語は英文の意味がわからなくても2、3回は最後まで読み通します。なんとなく話の流れがつかめたら意味不明だった文章や英単語を辞書で調べながら理解していきました。

推理小説が好きなので、児童向けの「 Encyclopedia Brown シリーズ 」や、英語学習用にルビが振ってある「 そして誰もいなくなった [英語版ルビ訳付] 講談社ルビー・ブックス 」 を買っていました。

英語学習者向けの The Japan Times Alpha という週刊の英字新聞も定期購読していました。(昔は週刊STという名称のサービスでした。)

ソフトウェアの文書に日本語訳があってもあえて英語の文書を選んで読みました。現在もそうしています。

他には翻訳(和訳)に取り組みました。翻訳ソフトと英和辞典を利用して「 Why Python? 」などを和訳しました。

「聞く」を鍛える

洋画 DVD の音声を英語にして観ます。もちろん字幕は OFF です。

音楽も歌モノは英詞の曲しか聞きません。歌詞カードを眺めながら聞いていました。ジャンルは自分の好みのものだけです。

YouTube では Learn English with Jennifer を見ていました。

「書く」を鍛える

読み通した文書を写経のように繰り返し書き取りました。コンピュータ上ではなく大学ノートに手書きで写していました。

「話す」を鍛える

近所の英語教室に通いました。ECC や Nova とかではなくて個人で英語を教えているところです。先生はカナダ人でした。他には「聞く」で観た洋画のセリフを真似していました。

英文法について勉強した記憶はほとんどありませんが「 ビッグ・ファット・キャットの世界一簡単な英語の本 」は今も本棚にあります。アメリカ人の感覚を知るために読んだ「 日本人の英語 」はためになる一冊です。

英語学習に役立つリソース

筆者がよく利用するサイトなどを紹介します。

翻訳サービス

Google 翻訳
英和翻訳以外に世界各国語の翻訳に対応している。入力したテキストの翻訳だけでなく、URL を入力するとウェブサイトの翻訳も行ってくれる。
フレッシュアイ翻訳
和英、英和翻訳。入力したテキストを翻訳してくれる。専門用語辞書を使った翻訳エンジンなので、他の翻訳サービスより精度が高いときがある。
エキサイト 翻訳
和英、英和翻訳。ウェブサイトの翻訳と入力テキストの翻訳ができる。

辞書サービス

英辞郎 on the WEB
和英、英和データベース。検索結果に豊富な文例が出力されるのがGOOD!
weblio英和和英辞典
国内最大級のオンライン英語辞書。例文の表示もある。
Google
define コマンドを使って英英辞典として利用しています。例: 「 define:artificial intelligence

インターネットの辞書では音声を聞くこともできるので単語の発音や読み方がわからないときに重宝します。

書籍

英語辞典を使いこなす 講談社 学術文庫 ISBN-13: 978-4061595385
"英和・和英・英英使いのノウハウ 英語の疑問の90%は辞典の中に答えがある"と帯に書かれているのはウソではない。筆者が"辞書好き"であることもあるけれど、学習の幅を広げる意味でもオススメの一冊です。 参考ページ: 英語・英会話の情報ランド−おすすめ本・初心者編

さいごに

筆者は英語と積極的に付き合いだしてから2019年現在で16年ほど経ちました。16年という長い月日を経ても読むことしかできません。本気で勉強していればもっと書けたり話せたりしたと思います。それでも今の状態でソフトウェア開発に携わる者として十分価値のあるスキルだと思っています。


最終更新日: 2019年12月12日(木) / カテゴリー: 学習・教育