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小説 46番目の密室

有栖川有栖さんの 本格推理小説『46番目の密室』 を読了(再読)しました。(本記事冒頭の画像は新装版文庫本の表紙です)

この本を選んだのは、書店で 新本格ミステリ30周年記念 として売り出されていて、有栖川有栖さんの小説を一度も読んだことがなかったこともあって衝動買いしました。

有栖川有栖さんのことは、その昔ミステリ好きの間で話題となった 視聴者参加型・懸賞金つき本格ミステリドラマ『安楽椅子探偵』 の原作者として知っていたので推理作家として興味を持っていました。

作品のあらすじ

この本は、臨床犯罪学者の火村英生(ひむら ひでお)と推理作家の有栖川有栖(ありすがわ ありす)のコンビが主人公の物語です。アリスは原作者と同名の登場人物です。

火村とアリスは、密室の巨匠と呼ばれる日本の推理作家・真壁誠一(まかべ せいいち)の別荘での集まりに招待されます。 火村とアリスとともに、招待客として常連の数名の推理作家と出版社の編集者が真壁の別荘で過ごすことになります。

ある晩、招待客のそれぞれの部屋がいたずらされているのを発見します。 このいたずらを口火に真壁と正体不明の男が別荘内で殺されます。

殺害現場は密室となっており、火村とアリスは警察と協力しこの殺人事件の謎を解き明かします。

犯人は恋仲の噂のある招待客なのか?あるいは別荘の付近で目撃された焦茶色のブルゾンを着た火傷痕のある男なのか?そして殺人は46番目の密室によって実行されたのか?

本格ミステリの王道を歩む、火村シリーズ第1作です。

感想

タイトルに示されているように本書は「密室」を主題とした本格推理小説です。

印象に残っているのは、やはり密室の謎ですけれども、若干トリックの実現可能性が想像しにくいこともあってか、驚くというよりも納得させられる密室トリックでした。 別荘内部の見取り図があればもっと登場人物の行動や部屋の位置関係をイメージしやすいのではないかと思いました。

また、本格推理小説として密室トリックと論理の美しさに重点が置かれていることから、登場人物や主人公に対する描写は弱く、感情移入はできなかったです。

火村シリーズ第1作ということでキャラクターが固まっていないのもあるでしょう。2作目以降に期待したいです。

駄目出しばかり言っておりますが、章立てされて"読者への挑戦状"のように迎える最終章で謎解きが行われる構成はエンターテイメントとして不満はありません。

犯人と犯行の動機には意外性があり総合的にはおもしろい作品でした。

おわりに

この感想を書く前に U-NEXT で『臨床犯罪学者 火村英生の推理』を視聴したこともあって、火村英生シリーズは万人受けするテレビドラマの印象がありました。

U-NEXT で『臨床犯罪学者 火村英生の推理』を観る

ドラマで展開された推理要素はそれぞれ「なるほど」と思いましたが、全10話あったことから火村シリーズが食傷気味だったのが本作『46番目の密室』を堪能するには至らなかったのでしょうか。

新装版の解説で綾辻行人さんが言及されていた、「安楽椅子探偵で不採用となったトリック」を使って書き上げられたという有栖川有栖さんの小説『マレー鉄道の謎』を読んでみたいと思いました。

46番目の密室 (ISBN: 9784062764278)
満足度(最大星5つ)
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最終更新日: 2020年05月28日(木) / カテゴリー: 推理小説・映画