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コミック版『月館の殺人』の表紙

推理漫画『月館(つきだて)の殺人』 上巻下巻を読了しました。 漫画を 佐々木倫子 さんが描き、ストーリの原作は推理小説家の 綾辻行人 さんです。

この本を選んだのは、私は綾辻行人さんの館(やかた)シリーズが好きなので館シリーズの延長となる作品が漫画で読めるという期待感で選びました。

実際は建物の館ではなく「月舘(つきだて)」というのは場所を示した名前です。

作品のあらすじ

この物語は沖縄育ちの女子高生・空海(そらみ)が主人公の物語です。

空海は母親が電車嫌いであったことが理由で電車に一度も乗ったことがありません。 その母親が死んで空海はひとりぼっちになるのですが北海道から弁護士がやってきて母方の祖父が健在であることを空海に知らせます。

空海は財産相続の件で祖父に会うために北海道へ行き、北海道の地で空海は生まれて初めて列車に乗ることになります。

空海のほかに列車に乗り合わせた客は全員が鉄道オタク(通称:テツ)。その列車で殺人事件が起こります。

終点まで列車は止まらず携帯電話は圏外。連絡手段を失った列車で起きた事件の謎を空海と乗客たちが解き明かす推理漫画です。

上巻は列車での殺人事件の発生と、ある状況からの急展開までのお話。 下巻は事件の続きと謎解きのお話です。

感想

わたしはこの本を読んで、鉄道ファンの人にミステリを楽しんでもらうための作品だと思いました。 鉄道ファンにしか通じない話が多いのは作品の特徴としてよくできているんじゃないでしょうか。 私は鉄道ファンじゃないのでマニアックな知識はさっぱり不明でしたが、わからなくても推理要素にあまり影響は無いと思います。

ミステリファンとして少しネガティブな感想は2点。

1点目は、推理要素について、犯人が明らかになるところまでは良かったが犯人がわかったあとの展開がやや強引に感じたところが不完全燃焼。フィクション作品なので現実に起こることは無いにしてもちょっとイメージしにくい出来事。

2点目は、ときどきギャグが入ってくるのが余計な演出に感じる。ギャグとして明示しなくても知っている人だけがニヤリとする描き方で良い。

いっぽう良かった点は、

  • 上巻最後の締めくくり
  • 鉄道ミステリであるが単純な時刻表トリックでは無い点
  • アガサ・クリスティ作品のオマージュが含まれる

読み終わった直後はとにかくギャグがうるさくて感じて画も好きじゃないのでミステリ作品としての満足感はなかったのですが、こうして感想を書きながらプロットを思い返すと殺人の動機、手口、トリックそして謎解きの手掛かりすべてがミステリとしての完成度が高いと思います。

ということで2回は読もうかなと思います。 1度目は作品全体をそれとして読んで、2度目はミステリ作品として細部に注意を払いながら楽しめそうです。

おわりに

本の内容とはあまり関係ないですが書籍の形態が電子書籍とコミック版と文庫版があります。

私が手に入れたのはコミック版です。

文庫版はコミックの内容を文庫本サイズにしたもので、文庫版特典として〈制作裏話対談〉と綾辻行人さんの〈文庫版あとがき〉、そして有栖川有栖さんの〈解説〉が収録されているようです。

コミック版のあとがきはめちゃくちゃ読みにくいです。文体ではなく印刷に仕掛けがあって読みにくいのですが何か特別な道具でも使えば読みやすくなるんでしょうか。

月館の殺人 (ISBN: 9784091885814)
満足度(最大星5つ)

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最終更新日: 2020年09月30日(水) / カテゴリー: 推理小説・映画