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文庫本 ジョーカー・ゲーム

柳 広司(やなぎ こうじ)/著の推理小説『 ジョーカー・ゲーム 』を読みました。

この本を選んだのは、読者が選んだおすすめ推理小説ランキング で10人中3人の人がおすすめする作品にランクインしていたからです。

2つの賞を受賞している作品です。

作品のあらすじ

日本陸軍内に極秘に設立された結城(ゆうき)中佐率いるスパイ養成学校”D機関”の精鋭が活躍するミステリー。

短編5編からなる小説です。

”D機関”をまとめている結城中佐が主人公ですが、それぞれのストーリーで任務を遂行する主役がいます。

各話で起こる事件を簡単に紹介します。

第1話 ジョーカー・ゲーム
参謀本部の佐久間(さくま)が、陸軍の暗号表を盗み取ったアメリカ人スパイを捕まえる話。D機関の訓練の様子なども描かれている。
第2話 幽霊 ゴースト
D機関の蒲生(がもう)が、テロ計画メンバーらしい英国総領事を調査する話。
第3話 ロビンソン
D機関の伊沢(いざわ)が、ロンドンに潜入中にスパイであることが発覚して英国諜報機関に捕まってしまうが、脱出を試みる話。
第4話 魔都
上海憲兵隊の本間(ほんま)が、上官の及川(おいかわ)大尉からの命令で内通者を探す話。
第5話 XX ダブル・クロス
ドイツとソ連の二重スパイが殺害された真相をD機関が突き止める話。

感想

この本でもっとも印象的で作品に熱中できた理由は、スパイ活動を題材としているところです。

わたしがよく読むミステリー小説 の多くは探偵役が登場します。

探偵の場合は、事件の証拠を集めてその手口を解明することです。 スパイの仕事は、決して素性がバレないように国のために情報を集めて報告することです。 このように活動の目的が異なります。

探偵とは趣が異なる知性に溢れたスパイの活躍が新鮮で格好良く映りました。 戦時中のスパイ捜査という設定が秀逸で、登場人物たちの「駆け引き」を楽しむことができます。

短編ということもあり各話のトリックや謎は推理小説のように込み入った長い捜査活動はなく、スピード感あふれる話は目の前で手品を見ているようでした。 手品のあと(物語の終盤)に種明かしで終わる構成も、話の最後まで惹きつけるポイントだと思いました。


登場人物で個性的なのは主役である「D機関」の結城中佐です。 結城中佐はリーダーなので自身が表立った活動はしませんが、結城中佐が登場するシーンでは組織のトップたるインテリジェントな風貌や威厳ある態度が文章から伝わってきます。

この結城中佐の存在が大きく、カバーイラストとデザインそのままの世界観でおもしろい作品でした。 シリーズものなので第2弾の作品も読んでみたいと思わせる1冊です。

おわりに

漫画、テレビアニメ、映画に展開されていて映像化しやすい作品であることがわかります。

戦時中が舞台ということもあり文章だけでイメージしにくい場面が絵になっているので、小説よりも世界観に入り込みやすいと思います。

ジョーカー・ゲーム (角川文庫) (ISBN: 978-4043829064)
満足度(最大星5つ)

本作以外のミステリー小説や映画・ドラマ作品の感想文も書いています。 「推理小説・映画」の一覧ページ からご覧ください。

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最終更新日: 2022年10月23日(日) / カテゴリー: 推理小説・映画