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文庫本 水車館の殺人

綾辻 行人(あやつじ ゆきと)/著の推理小説『 水車館の殺人 』を読みました。

読もうと思ったきっかけは、綾辻行人さんの館シリーズを全部読んでみたいと思ったからです。 1作目の『十角館の殺人』は読んだので2作目にあたるこの『水車館の殺人』を手に取りました。

『十角館の殺人』の感想文 も書いてます。

今入手できるのは新装改訂版になります。

作品のあらすじ

ある嵐の日、山間にある『水車館』で家政婦の転落死が起き、さらに焼却炉で焼かれた別の遺体が発見される。犯人と思われる人物は行方不明のまま。

そして、1年が経った同じ日に水車館で再び殺人事件が起こります。

交通事故で傷を負った顔を隠すためにゴムのマスクをかぶっている水車館の主人・藤沼紀一(ふじぬま きいち)。 紀一の妻で、19歳ととても若く幽閉同然で生きてきた少女の由里絵(ゆりえ)。

紀一の父であり画家の藤沼一成(ふじぬま いっせい)の隠された作品をなんとかして鑑賞しようと、年に一度水車館に集まる美術好きの客達。

探偵役となる島田潔(しまだ きよし)は行方不明の人物が自分の友人であったことから、水車館を訪れて事件の真相を追求します。

感想

印象的な点は、何といっても水車館の主人・藤沼紀一がずっとゴムのマスクをつけていて顔がわからないのと、歩けないため車いすに乗っていることです。

ゴムの覆面を被った藤沼一成のことは、『犬神家の一族』のドラマや映画を観たことがある人ならスケキヨを想像すると思います。私は一成が登場するたびにスケキヨがよぎっていました。

同じく登場人物として、そして犯人かもしれないと怪しんだ人物は、紀一の妻である由里絵です。由里絵が19歳という若さでなぜ妻になったのか理解が難しいです。そこに謎があるのかなと想像しながら読みました。

舞台設定については「嵐の日の山間にある館」という閉じた環境、いわゆるクローズド サークルの本格ミステリとして物語の雰囲気が最高です。

『水車館』という建物は塔が廊下でつながれており全体としては四角形の形です。四角形の四隅が塔になっている形です。 なぜ水車なのか?というのはわかりません。「回廊でつながれて1周できる館」というのが重要なのだと思います。

この小説の特徴として、事件のあった過去と現在が章立てされており、両者の時間軸がリンクするように話が進んでいく構成になっています。 私にはこの形式は読みやすかったです。

犯人が誰かと想像を膨らませ物語に引き込まれながらあっという間に読み切りました。

おわりに

「館シリーズ」の第1作目『十角館の殺人』 がとてもおもしろかったので、第2作目としての『水車館の殺人』には物足りなさを感じました。

あくまで比較した場合に物足りないというだけで作品単体としては十分満足です。登場人物も多くないので読みやすく、トリックも本格ミステリとして論理的に構成されて納得のいく範囲です。

英語版も読みたい方は 『The Mill House Murders』というタイトルで出版 されていますので手に取ってみてください。

「館シリーズ」の他の作品一覧や概要は講談社の『綾辻行人の館』というサイトでご覧いただけます

水車館の殺人 <新装改訂版> (講談社文庫) (ISBN: 978-4062760324)
満足度(最大星5つ)

本作以外のミステリー小説や映画・ドラマ作品の感想文も書いています。 「推理小説・映画」の一覧ページ からご覧ください。

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最終更新日: 2023年04月29日(土) / カテゴリー: 推理小説・映画