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映画 白ゆき姫殺人事件

『白ゆき姫殺人事件』 という映画を観ました。

ミステリ・サスペンス ジャンルの映画を探していたなかで、原作が湊かなえさんの作品ということだったので選びました。

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作品のあらすじ

この物語はTVディレクター赤星(あかほし)をはじめ複数の人物が主人公の映画です。

赤星は最近起こった三木典子(みき のりこ)殺人事件について、友人の狩野里沙子(かのう りさこ)から犯人と思われる人物の情報を得ます。 被害者の三木典子は狩野と同じ化粧品会社で働いているので狩野は社内の人間関係から疑わしい人物をあげることができたのです。

犯人と思われるのは狩野や三木と同じ化粧品会社で働く城野美姫(しろの みき)です。 三木が殺害された直後に城野は会社にも顔を出さず行方がわからなくなっています。

犯人と思われる城野をTVディレクターの赤星は化粧品会社社員をはじめ関係者らに取材を行い、その内容をTwitter上にツイートしたりワイドショーの番組として制作します。

ツイートからは城野が犯人だと断定されるような書き込みが拡散していき、TV番組のワイドショーも城野が容疑者であるようになっていきます。

本当に城野が三木を殺したのか? Twitter上で広がる噂・口コミは真実を言い当てているのか? 赤星が真相を突き止めることができるのか?

SNSを絡めた社会派サスペンスと殺人事件のミステリー、ふたつのトピックがある作品です。

YouTube で本作の予告編を観る ことができます。

感想(1) 登場人物たち

わたしがこの映画を観て、印象に残っているのは、3人の登場人物です。

まず、殺人事件の被害者である三木典子(みき のりこ)は美人で目立つ女性で、しかも「マウンティング女子」です。

マウンティング女子とは”何かにつけて、相手より自分のほうが立場などが上であることを示そうとする人”のことです。

『マウンティング女子の世界 女は笑顔で殴りあう』

他人の彼氏を奪うなど三木典子は周囲の女子から恨みを買うほどマウンティングする女で、殺されてしまうのは当然と思いました。 女子に嫌われて男子には人気なタイプで「この世から消えて欲しい関わりたくない人間」としてうまく描かれていると思います。

次に、赤星(あかほし)も「この世から消えて欲しい関わりたくない」タイプの人間でした。 私はテレビのワイドショー番組がどちらかというと嫌いです。なので私の嫌いなワイドショーを作っているTVディレクターである赤星という人間も嫌いなのです。 視聴率を高めるためや視聴者を煽るためだけに人権を無視して撮影許可無しの取材であったりSNS上でデマを発信する、建設的な要素が無い仕事に就いている人間と思います。 このような人たちは殺人事件までも見世物として扱うので、腹が立ちますしこの世から消えて欲しく関わりたくない人間なのです。

赤星は取材が進むごとにSNSを通じて自分の優位性を示してマウンティングする力を発揮するのですが、物語の最後に形勢が逆転するのが痛快でした。 しかし、痛快を通り越して悲惨で同情したくなるほど赤星の状況は様変わりします。これまでSNSでは赤星に賛同していた人間が、赤星の醜態を知ったとたんに態度が180度変わり赤星を攻撃する立場になるのです。恐ろしいことです。 TVのワイドショーを受け身で見ている人間と同じで、自分の意見を持たず世論に振り回されるのがSNSで噂や口コミを拡散する人だと思います。私もそうならないように注意しなければと思います。私はSNSで情報発信はしないのですがSNSの情報を読むことはあるので、その解釈には気をつけたいです。

そして3人目の人物・城野美姫(しろの みき)は印象に無いことが印象に残るような矛盾した存在でした。役目としては犯人として疑われるほど非常に重要で欠かせない人物なのですが、印象に残っているかと聞かれるとあまり記憶に無いのです。

三木典子とは対照的な存在で、優しくて物静か・控えめであるがゆえに、何を考えているかわからない人と思われてしまって、犯人として疑われやすいのだと思います。殺人事件と同時期に失踪してしまったことも殺人犯であることを裏付けてしまう行動になってしまっています。 失踪した本当の理由は殺人事件とは直接関係ないところにあるのですが、私が同じような立場だったらと考えると、その誤解を解くのは無理だと思い、映画のワンシーンにあるように自殺を図ろうとするでしょう。

いじめられっ子に位置する人物ではありますが会社員として普通の女性です。会社の同僚である三木典子に目をつけられてしまったことで不幸が始まってしまう不運な女性です。

無条件にかばいたくなるほど惨めな存在では無いので”印象に無い主役”として私の心に残ったのだと思います。

感想(2) 推理要素について

3人の登場人物に感想を書きましたが本作は題名のとおり殺人事件も主題として犯人を突き止める謎解きの物語でもあります。

話の始めから城野美姫が犯人として疑われ、その状況は物語の最後のほうまで続きます。

城野以外に疑われる人物は出てきません。赤星の取材内容から城野が犯人だとする状況証拠も見事に揃っています。

しかし、いくつもの推理小説を読んだり映画を見てきた私にとっては城野がそのまま犯人では無いことは想像できます。 城野以外の人物だと思わせておいて、本当は当初から疑われていた城野が犯人だったパターンも期待しました。

ネタバレになるので犯人については触れませんが、まあまあ予想どおりの結果でした。謎解きの部分だけを取り上げれば可もなく不可もなくと言えるのですが、本作の醍醐味は現実にありそうな人間関係だと思いました。 本格推理小説に見られるパズル要素たっぷりの物理トリックではなく、 謎解きの伏線が人間関係にあるのが本格推理小説とは異なる点でおもしろかったです。

おわりに

『白ゆき姫殺人事件』を観賞したきっかけは、推理モノの映画が見たかったという気持ちでした。 実際の内容は刑事や探偵ものじゃなくて、人間関係や心情を複雑奇怪で予測不可能なミステリーとして描いたものでした。 期待していたものとは違ったのですが見てよかったです。

私自身の読書体験や映画鑑賞履歴からすると、このようなミステリーは東野圭吾さんや太田愛さんの作品に近く、個人的評価は高いです。 公式では 「 ゴシップエンターテイメント 」というコピーがついてSNSとTVワイドショーというカジュアルで身近な事をストーリーに混ぜているので2時間もののドラマとして放送されても一般受けする作品かと思いました。

ちなみに私の湊かなえ作品視聴・読了履歴はいまのところ下記の4つです。

推理小説好きにもおすすめできる作品ですので動画配信サービスなどで一度は見てください。

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最終更新日: 2021年07月28日(水) / カテゴリー: 推理小説・映画